他人を認めること、自分を認める事。それはとても難しい事。
「聲の形」
オススメ度 ☆☆☆☆☆ 5/5点
・ストーリー
小学校で、耳の聞こえない転校生の女の子をいじめてしまった少年。罪の意識にさいなまれながらも、やり直したいと思う少年は、高校生になった少女を訪ねる。
※Netflix引用
・評価
何度見ても考えさせられる物がある。
見る側の想像力をとても掻き立てられ、観終わった後の余韻も楽しめる。
そして、もう1度観たくなる作品です。
たかがアニメ作品、そう甘く見ているなら是非観てみるべき作品。
題材が題材だけに、あまり映画公開当時は知名度も高くありませんでしたが、最近は段々と認知されて来た気がします。何となく名前だけ知っている方も多いかもしれませんね。
・映画レビュー
この映画の題材はイジメ、自殺
…なんだか鬱(うつ)作品みたいな題材ですね(笑)
ですが、安心してください。
この作品では綺麗な作画、背景に定評のある京都アニメーションが手掛けており、作画も京都アニメーション独特の少しゆるめのタッチで描かれていて、
内容は、確かに重い題材であり、とても深いメッセージが込められていますが、
怖いシーンや不快なシーンもなく、全体的に明るい色が使われてたりするので、あまり深く考えないで見てみても普通のアニメ作品と変わりなく楽しめると思います。
筆者も深く楽しんだり考察したのは2周目からでした。
しかし、この映画、不思議なことに人によっては「え?そこまで重いストーリーだった?」なんて感じる人もいます。
こう感じる人は映画を見る時の姿勢が違うのではないでしょうか?
単なるアニメ、ただの娯楽、恋愛映画として、この聲の形を観た場合は学生の青春模様として面白かった、くらいの軽い感想で見終わるかもしれません。
この映画の一番の見どころは、
心の描写をとても細かく描いており実写、漫画ではこれら全てを映すわけにもいかず、アニメ独自の目元、口元の一瞬の描写が物語にとても深みを持たせています。
作中では、あえてアングルを下に向ける場面を多めに使って、主人公の相手との心の距離感をわかりやすく描いたり芸がとても細かいです。
- 知っていればもっと楽しめる解説(2回目に観る時などの参考にも)
この映画でのルール(?) 知っていないと、この描写はどういう意味があるんだろう?と思う事がいくつかあり、もしかすると何度か見直さないと解りにくいかもと思ったので解説しておきます。これを知っておくと、さらに楽しめるはずです。
- まず、この作品を筆者は、"恋愛作品"だとは思っていません。「この人はこの人が好きなのか」という偏見を持ってしまうと、この作品のテンポ、心の変化に着いていけないかもしれません。
- 顔にあるバツ印は心を閉ざした人。いわゆる主人公が関わりたくない人、まともに顔を合わせる事ができない人です。
- 主人公は極度にストレスを抱えるとストレスで吐きそうになってしまいます。その場から逃げたいと言う意味も込められているのかも知れませんが、それぐらい1人で抱え込んでしまっているんですね。
- 具体的に誰が悪人だ。コイツは悪い奴だ!という見方よりも、こういう所は自分にも当てはまるな…という気持ちで見てみるのもいいと思います。ちなみに、この作品の登場人物は恐らく、それぞれ意図して性格に難があるよう作られているように感じました。しかし、それが凄く人間味を出してくれています。人間はだれしも嫌な所、弱い所があって当たり前なんですよね。
- 物語終盤でヒロインがとある大事件を起こします。ある意味、物語の最初の主人公とヒロインの立場が逆転してしまうシーンに注目です。
≪心に残る名言≫
・泣かないでよ、泣かないでよ…西宮。
・神様、どうかもう一振り。俺に力をください。
もう嫌なことから逃げたりしません。
明日から、みんなの顔をちゃんと見ます。
明日から、みんなの声もちゃんと聞きます。
明日から…ちゃんとするから……。
・俺さ…たぶん君の事、都合よく解釈してた
もっと…話がしたかったんだ。君と。
たぶん…それだけ…。
「聲の形」というタイトル……どうして「声」ではなく「聲」なのか。
声は言葉にすれば簡単に伝わります。でも、本当にそうなのでしょうか?
言葉や想い、自分や他人の気持ちについて。
それはみんなが当たり前に知ってるようで何も知らない。ずっと解ける事のない永遠の謎なのでしょう。
だからこそ、わからないからこそ、知る努力が必要なのだと、この作品は視聴者に訴えかけているのかも知れませんね。